ベートヴェン 交響曲第9番「合唱」

2020年、コロナ禍のさなかに生誕250年を迎えた大作曲家、ベートーヴェン。彼が作曲した交響曲第9番、クラシック音楽にあまり馴染みのない方でも年末によく耳にしますね。

ベートーヴェンの第九、合唱はどこで出てくる?

そんな有名な「第九」は、「合唱」とも呼ばれています。実際には「合唱」だけではなく、4人の独唱歌手も登場します。でも合唱含めて彼らの出番は第4楽章だけなのです。

そして、合唱が登場するのは第4楽章がはじまって6分も経過したあと。そして第1楽章が始まってから大体50分が過ぎてからです。長い時間をかけて、いろいろな旅をして、ようやく辿り着く、というところでしょうか。辿り着いたところで生まれた静寂の中で突然歌が、それに続いて合唱の声が響きます。まるで音のドラマを見ているようです。

何を歌っているのかというと、シラーの作った詩「歓喜に寄す」の一部です。そんなことから、第九の第4楽章は「歓喜の歌」とも呼ばれています。歌詞はもちろんドイツ語。

長い歌詞ですが、

「神の力により、分断されていたものが再び結びつき、すべての人がきょうだいとなる」

という詩が有名です。

第九が作曲されたのはいつ?初演はいつ?

この曲が作曲されたのは1824年、ベートーヴェン54歳の時です。そしてこれがベートーヴェンが完成させた最後の交響曲となりした。この頃のベートーヴェンは耳が聞こえなくなってしまっていました。初演の時には自分で指揮をすることができない状態でした。

この初演に立ち会っていたベートーヴェンは、演奏後の聴衆の割れんばかりの拍手が聴こえませんでした。出演者に促されて客席を振り向いて、大喝采を知った、という話が伝わっています。ベートーベンの心の中ではどんな音楽が響いていたのでしょう。耳が聴こえない状態であっても心の中で鳴っていた音楽を楽譜に記したベートーヴェン、凄いです。

合唱の入った交響曲は当時も非常に珍しいものでした。大規模な合唱とオーケストラの厚い音の重なりは、当時の聴衆にとっては想像もしないものだったようです。驚きを持って迎えられたことでしょう。そしてどのようにベートーベンの心の中ではどんな音楽が響いていたのでしょう。耳が聴こえない状態であっても心の中で鳴っていた音楽を楽譜に記したベートーヴェン、凄いです。

第九が年末に演奏されるのはなぜ?

現在はすっかり年末から大晦日にお馴染みの曲となりました。でも世界的に見ると必ずしも年末の曲、というわけではありません。

日本では第二次世界大戦の後、現在のNHK交響楽団が年末に第九を演奏したのが始まりでした。

困窮するオーケストラ団員の年末年始の生活のために、集客しやすいこの曲を年末に演奏したのだそうです。ボーナス狙い曲ですね。

日本以外ではドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が大晦日の夕方にこの曲を演奏するのが有名です。

ライプツィヒの演奏会は第二次世界大戦によって一旦中断してしまいました。ですが東西ドイツの統一後の1992年からこの演奏会が再開されました。

そして毎年の大晦日の夜、人類が味わった最も悲しい歴史をを超えて、「人類すべてがきょうだいになる」という大合唱がライプツィヒの街中に鳴り響きます。まさに東西ドイツ統合の象徴です。

聴衆の想いは、国や人によって様々です。そしてそれぞれが辿ってきた歴史も色々です。この曲を通じて平和を求める人類の思いが世界に広がることを願います。

編成

  • 声楽:ソプラノ独唱、アルト独唱、テノール独唱、バリトン独唱、4部合唱
  • 弦5部:第一/第二Vn(ヴァイオリン)、Va(ヴィオラ)、Vc(チェロ)、Cb(コントラバス)
  • 木管楽器;フルート(2)、ピッコロ(1)、オーボエ(2)、クラリネット(2)、ファゴット(1)、コントラファゴット(1)
  • 金管楽器:トランペット(2)、ホルン(4)、トロンボーン(3)
  • 打楽器:ティンパニ、トランアングル、シンバル、バスドラム、タンバリン

構成

  • 第1楽章 Allegro ma non troppo, un poco maestoso
  • 第2楽章 Molto vivace – Presto, Molto vivace – Presto
  • 第3楽章 Adagio molto e cantabile – Andante moderato – Tempo I – Andante moderato – Tempo I – Stesso tempo
  • 第4楽章 Preso – Allegro ma non troppo – Vivace – Adagio cantabile – Allegro assai – Presto – Allegro assai – Alla marcia Allegro assai vivace – Andante maestoso – Adagio ma non troppo, ma divoto – Allegro energico, sampre ben marcato – Allegro ma non tanto – Prestissimo

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