エルガー 愛の挨拶

3月1日に放送されたリバーサルオーケストラ第8回では、平田満さん演じる往年のオーボエ奏者が奏でるエルガー作曲「愛の挨拶」奥様との思い出の曲として登場しました。

リバーサルオーケストラにも登場、老夫婦の愛を奏でる

ドラマの中では、平田さん演じるオーボエ奏者「穂刈さん」が、この奏でます。舞台は老人ホームの音楽会。客席には宮崎さん演じる妻の「冴子さん」。冴子さんは、認知症を患い、夫の顔もわからなくなってしまっています。夫の演奏する「愛の挨拶」が始まると、ピアノを奏でるように指が動き出します。

冴子さんはピアニストで、出会った頃に穂刈さんと一緒に演奏したのがこの曲でした。

演奏後、拍手と共に深々と頭を下げる「冴子さん」。どんな思い出が彼女の中に浮かんでいたのでしょうか。病にある妻を想う「穂刈さん」と病に侵された「冴子さん」。

二人の俳優の名演技に美しい「愛の挨拶」が優しく、そして少し悲しく、華を添えていました。

愛の挨拶の作曲者、エルガーってどんな人?

さて、ではこの「愛の挨拶」はどんな背景を持つ曲なのでしょうか。

この曲を作ったのはイギリスの作曲家であり指揮者でもあるエドワード・エルガー。1857年に生まれて1934年に77歳の生涯を閉じました。

リバーサルオーケストラの前半の放送回で「玉響」が地域の中学生の音楽発表会で演奏した「威風堂々」もエルガーの作品です。

また、エルガーは最晩年の1924年には国王の音楽師範も努めました。そしてなんと74歳の時に「準男爵」という爵位まで与えられています。すごい人です。

ですが、若い頃はなかなか作曲家として世の中に認められませんでした。生活のためにヴァイオリン教師をしていました。その生徒の一人がその後に妻になるアリスでした。

愛の挨拶、作曲の背景は?やっぱりそこには「愛」

アリスはエルガーよりも8歳年上で、エルガーにピアノ伴奏を習っていました。名家の出で、すでに作家として本も出版している超才女のキャリアウーマンでした。29歳だったエルガーに対して37歳のアリス、当時の女性としたらかなり遅い結婚だったのかもしれません。

身分や信仰していた宗教の違い、エルガーが無名だったことから、アリスの親族は二人の結婚を受け入れませんでした。二人は反対を押し切って愛を貫きました。

周囲からの反対の中で婚約した時に、エルガーとアリスはお互いの作品を贈り合っています。

アリスからは自作の詩の中から「The Wind at Dawn」(夜明けの風)をエルガーに

そしてエルガーがアリスに贈ったのがこの曲「愛の挨拶」なのです。

愛の挨拶はどんな曲?どんな楽器で演奏されたの?

原曲はヴァイオリンとピアノのための曲で、もちろんエルガーとアリス二人で演奏したのでしょう。

曲の前半は、ヴァイオリンのメロディーに寄り添ってピアノの伴奏が静かに進みます。そんな前半に対して、少し高揚する中間部。そのあとはヴァイオリンとピアノで会話するように交互にメロディーを奏でます。

まるで二人の出会いから、お互いの気持ちが高まって愛を交わしていく様子が描かれているようです。

親しみやすい美しいメロディーは、ヴァイオリンだけでなく多くの楽器のために編曲されています。リバーサルオーケストラの中で演奏していたのは「穂刈さん」のオーボエでしたが、ピアノ独奏のほかフルートやチェロでもよく演奏されています。

3分ほどの長さで、著しく難しい曲ではありません。楽器を習っている方の発表会でもよく登場する人気の高い曲です。また結婚式や演奏会でも多く取り上げられています。

アリスがエルガーに贈った「The Wind of Dawn」も、のちにエルガーが曲をつけています。愛の挨拶と合わせて演奏できたら素敵ですよね。

  • 演奏おすすめ度;★★★★★
  • こんな曲も聴いてみては?:威風堂々

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